展覧会の紹介

2006年度の展覧会5

画家がいる「場所」−現代絵画のなかの記憶・風景・身体

2006年11月11日(土)〜2006年12月24日(日)

展示プランより

展示プランより

◆会場     小杉放菴記念日光美術館
◆休館日    会期中無休
◆開館時間   午前9時30分〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
◆入館料    一般700(630)円、大高生500(450)円、中小生300(270)円
        ()内は20名以上の団体割引料金
◆主催     財団法人 小杉放菴記念日光美術館/日光市
◆後援     「とちぎ教育の日」実行委員会

 このたび、小杉放菴記念日光美術館では、新たな「日光市」が誕生したことを記念する初めての試みとして、東京文化財研究所の黒田記念近代現代美術研究室長であり、気鋭の美術評論家でもある田中淳氏をゲスト・キュレーターにお迎えし、絵画の現代的な状況についての考察を中心テーマとした企画展〈画家がいる「場所」−現代絵画のなかの記憶・風景・身体〉を開催いたします。

中村 功《Surface / Figaro 意勢IV−29》

中村 功《Surface / Figaro 意勢IV−29》

佐川晃司《半面性の樹塊50》

佐川晃司《半面性の樹塊50》

山田昌宏《ティリニ》

山田昌宏《ティリニ》

菊地武彦《土の記憶2006−26(春夏図)》(部分)

菊地武彦「土の記憶2006−26(春夏図)》(部分)

 画家が表現する、その創作という行為は、どのようなものでしょうか。その問いは、芸術にとって深く重いものです。そして画家たちは、その問いの答えを探して、今も描きつづけています。しかも多彩で多様な現代の絵画表現を、それぞれが、それぞれの問題意識とスタイルで追求しています。今回の展覧会では、そうした現代の画家たちの創作を、画家がいる、もしくは作品が生まれる「場所」から見ていきたいとおもいます。とはいえ画家は、目の前の風景をそのまま写すことはしません。画家にとって「場所」とは、記憶として内に沈んでいる情景かもしれませんし、あるいは今まさに自身の五感をとおして感じられる風景かもしれません。さらに深く身体化された情景とよべるものかもしれないのです。したがって一点の作品は、「場所」がうながす省察と行為の跡が、アトリエの時間とともに幾重にも層をなして重なっているとおもわれてなりません。今回、そうした多様で深遠な意味をもつ画家たちの「場所」で、実に25年から30年にわたり、一時の流行とは無縁に、真摯に黙々と自らの表現を追いもとめてきた、わたしと同世代の4名の画家たちを選び、彼らの新作を展示します。そうした作品を前に、画家にとっての「場所」を入口に現代絵画の豊かさをみなおしてみようとおもいます。また、まったくことなった「場所」から生まれた作品が、自然をこよなく愛した小杉放菴を記念する美術館の広い展示室につどうとき、作品が共鳴しあい、新たな交響を生みだすことを願っています。これによって、ともすれば難解だとおもわれがちな現代の絵画も、わたしたちにとってより親しむことができ、なによりもかけがえのない芸術表現なのだということをあらためておもっていただければとおもいます。
 わたしは、東京文化財研究所の美術部研究員として日本の近代美術を調査研究しています。しかし、つねに現代美術の動向にも注視してきたつもりです。今回、そうしたわたしが、美術館の全面的なご協力のもと、初めて企画した現代絵画の展覧会です。同時に5市町村が合併し新たな「日光市」が誕生したことを記念した、わたしと4名の画家たちとの5名によるコラボレーションでもあります。

(田中淳)

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