2005年度

教育普及――特別企画

大人と子供で楽しむ絵と音楽の夕べII
"心に生まれる音たち・色たち"

2005年9月30日(金)  18時30分〜20時45分

◆場所     小杉放菴記念日光美術館エントランスホール・展示室
◆講師     音楽の楽しみ|宮地ゆみ
        絵の楽しみ|鈴木日和(当館学芸員)

●参加料:小学生以上ひとり 300円(飲み物付/コーヒー、紅茶、オレンジジュース)
●参加者:有料40名(大人34名・子供6名) 無料6名  合計46名
※子供内訳(小学1年生2名・2年生1名・3年生1名・4年生1名・5年生1名)

 絵や音楽はあまり楽しめないと感じている方やこれから絵や音楽に接する機会の増える子どもたちを対象とした、本当は楽しい絵と音楽の世界。今回のテーマは「心に生まれる音たち・色たち」です。多彩な音と色の饗宴が心に響いたら、今まで何となく見えていた平凡な風景までもが違って見えてくるかもしれません。

【実施内容】

〈絵の楽しみ方〉――18時30分〜19時20分 (担当:鈴木日和)

◆《白雲幽石図》をテーマに、対話による鑑賞を行なう。

◆《白雲幽石図》を見て感じたものを、ワークシートに鉛筆や色鉛筆を使って表現する。

《白雲幽石図》

《白雲幽石図》

準備

●ワークシートは、A4コピー用紙の中央に、《白雲幽石図》の図版を印刷したもの。

……この作業は単なる塗り絵にならないように注意する。

●会場に展示されている《白雲幽石図》の前には、40脚の椅子を並べておく。

●《白雲幽石図》のキャプションは、あらかじめ外してある。

●鉛筆・色鉛筆・鉛筆けずりを展示室に用意しておく。

※企画者の意図

●《白雲幽石図》は、見る側(鑑賞者)にさまざまなことを感じさせる作品である。

●画面に描かれたモティーフは最小限であるが、それは作者が、自身が求める世界を描き出すために、最終的にたどりついた表現である。

●《白雲幽石図》の画面に表現された、強調する部分と省略するべき部分のメリハリを、対話と作業を行ないながら、具体的な作者の意図として参加者に感じてもらいたい。

鑑賞

●《白雲幽石図》の前に並べた椅子に座った参加者(子どもたちにはいちばん前に座ってもらった)に、まずは、じっくり作品を見てもらう。

●そのあと、「どんな感じがしますか?」と問いかけると、参加者の多くは、《白雲幽石図》のなかでも、人が座っている石のような固まりの部分に注目し、その印象について、次々に答えてくれた。

(参加者の言葉)

●作品に描かれているモティーフから受けた印象や、そこから広がる世界についての話が一通り出たため、次には「音」について、なにか感じているものはないか問いかけた。

(参加者の言葉)

●「作品を見ている自分(鑑賞者)に聞こえてくる音」と「作品の中の人物が聞いている音」との、二通りの感じ方が出たところで、《白雲幽石図》の図版がに印刷されたA4の紙(ワークシート)を配り、そこに、鉛筆や色鉛筆を使用して、自身が感じたことを表現する作業を行なった。

(参加者の作品)

●海に浮かぶ島や、宇宙、滝が流れおちる情景などを描き足し、《白雲幽石図》の世界を広げた参加者がほとんどであったが、ある美術の専門家(当時、栃木県立美術館副館長)だけは、《白雲幽石図》の石のような固まりの部分を、椎茸の傘に見立てて、石突を描き加え、斜面から椎茸が生えている情景とする独創性を見せた。これは当人が画家でもあることから、小杉放菴の《白雲幽石図》の世界から離れ、石のような固まりそのものが持つ「かたち」の面白さに注目し、制作者としての目で作品を鑑賞した結果と考えられる。

※制作者の目

●子どもたちが描いた作品と大人の作品をいくつか紹介したあと、まとめとして、絵画における強調と省略の効果を説明した。

〈休憩〉――――――19時20分〜19時45分

〈音楽の楽しみ〉――19時45分〜20時45分 (担当:宮地ゆみ)

◆童謡「しゃぼん玉」をピアノで弾き、曲を聴いて感じた色や形などのイメージを、A4版のケント紙の上に、色鉛筆や折り紙を使って表現する。

準備

●美術館のエントランスホールに、山台でコンサート・ステージを組み、その上に載せたピアノで演奏する。

●コンサート・ステージの前には、長机を二個一組として4ヶ所の作業スペースを作り、その周囲に椅子を10脚ずつ配置する。

●作業スペースの上には、A4版ケント紙、折り紙、はさみ、のり、消しゴム、色鉛筆、鉛筆を並べる。

●円を描く補助となる小物を用意する。

(参加者の反応)

●ピアノの音そのものから感じたイメージ

……きらきら光る感じを折り紙で表現

……円ではなく、四角い感じを折り紙で表現

●「しゃぼん玉」の色や形そのもののイメージ

……色とりどりのしゃぼん玉が飛んでいる風景を表現

……いろいろな色の円を折り紙で重ねた表現

●「しゃぼん玉」の曲を聴いたことによって呼び起こされた記憶のイメージ

(これまで忘れていた幼いころの情景や、故郷への思い)

……自分でしゃぼん玉をふくらませた経験を表現

……兄弟が多かったため、幼い頃にいつも、下の子をおんぶしていた様子を表現

……故郷の風景を表現

……生まれたばかりの子を亡くしたときの悲しみを表現

●「しゃぼん玉」から連想された思いをイメージ

……御主人が離れていかないようにという想いから、二つの風船が紐でしっかり結ばれている様子を表現

●ストーリー性のある「しゃぼん玉」のイメージ

……1枚目の紙に「しゃぼん玉」をふくらましている絵を描き、2枚目の紙に「しゃぼん玉」を鳥がつついて割ってしまう絵を描く表現

●立体的なイメージ

……「しゃぼん玉」と家を、はじめは、平面的に絵で描き、次に、立体的に折り紙で作成した表現

【アンケートの結果】

◆終了時にアンケートを実施(回収32件)……以下は、その結果。

1.この美術館に来たのは初めてですか。

2.美術館の雰囲気や、学芸員・スタッフの対応はいかがでしたか。

3.この企画をどこでお知りになりましたか。(複数回答)
  また、よろしかったら、参加のきっかけをお教えください。

〈参加のきっかけ〉

4.絵・音楽、それぞれの企画について、ひとこと感想をお願いいたします。
 (どんなことでも自由にお書きください)

〈絵〉

●初めてこんなに長く観て、とても楽しかったです。
●絵をじっくり見ることが出来た。
●絵の見方、楽しみ方を体験できよかったです。
●非常に楽しかったし、勉強になった。
●よく見る、感じる心を少し養えた。
●1つの絵でもいろいろな見方があると、おもしろく思いました。
●40人それぞれの考え方があり、それぞれ素晴らしい発想でした。
●自由に考える面白さ、他の人のいろいろな思いに、そんな考え方、見方もあるのだと納得しました。
●一ツの絵を見ても、奥が深いと思い、勉強になりました。
●一枚の絵から内面的なものが見えた。
●絵を見る時の見方、感じ方について、もっと自由に自分の感性で見ていいと知った。
●2回目の参加ですが、絵画鑑賞がとっても楽しくなりました。
●絵に感心を持ちました。
●絵をもっと勉強したいと思います。
●美術館へ来やすくなった。楽しく鑑賞させて頂けると思います。
●頭の運動に良いと思いました。
●イメージをふくらませる想像の世界はとっても楽しいです。
●色鉛筆で初めて描いたのでむずかしかった。もっと他の色づけ方法でやってみたい。
●せっかくコピーをとってくれたのだから色鉛筆をていねいに描けばよかった。
●「ウソ」の絵がよかった。
●毎回と言って良いくらい鑑賞させていただいています。

〈音楽〉

●工作がたのしかった。
●僕は音楽がすきでとってもよかったです。
●しゃぼん玉もこんな風に聞くといいものですネ。
●同じ音楽を聞いて、いろいろな形やそれぞれの絵が見られて楽しかった。
●宮地先生の気取らない接し方に好感を持ち、楽しかった。
●宮地先生のピアノすてきです。最後のビージーエム、涙がうるむ。
●音楽が二面・立体になった!
●子供たちのイメージはすばらしいと思った。
●音にも香りや色があり気持ちの良いものです。
●宮地先生のピアノを聞いていて、耳をすまして聞いているとさらに心の中に広がることを知りました。
●音を聞くだけでなく、自分のイメージをふくらませて聞くと、もっと楽しくなることを知った。
●音楽を聞いてイメージをふくらませる事が出来ました。
●他の音楽で又、イメージを表現したい。
●人それぞれの思い出がありますよね。○じゃなくて△もありまさに人生いろいろ、クヨクヨしていてはダメですね。マイペースが一番!
●子供の頃にタイムスリップできて、とてもなつかしくぽっかぽっかになれました。
●子供のころに帰って楽しく遊べました。
●自分の現在の心持ちが現れるのでびっくりしました。
●楽しい集いでした。心からやさしい気持ちになれたしあわせな夜でした。
●音楽を聞いて、絵に表現する体験がよかったし、前回のように、パート別に歌を楽しむのも良かったです。
●聞くだけでなく声も出したくなった。
●コンサートを数多くお願いします。

〈絵・音楽共通〉

●皆さんの感受性の豊かさに感心させられました。絵をこんなにじっくり見たのも初めてです。
●頭の中で考えているよりも、具体的に楽しく、ゲーム感覚で参加できて良かったと思います。
●固定観念に囚われすぎる自分を反省。ユニークな子供たちの発言から広がるイメージは楽しかったです。もっと幼い子の参加があったらとも思いました。

その他
▼これから、同じような企画があったらまた参加したいと思いますか。