小杉放菴記念日光美術館の非公式サイト

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2010/01/21

所蔵作品の紹介

20100121

吉田博《杉並木》
紙・水彩 50.2×68.2cm

吉田博(1876〜1950)は、小杉放菴が本格的に
画家の道へと進むきっかけを作った人物でした。

現在の福岡県久留米市に生まれ、1894(明治27)年に
東京の画塾・不同舎へ入門した吉田は、1899年に仲間と
渡米し、米国各地で開催した水彩画展で大成功を収め、
帰国後は風景画家の第一人者として永く活躍しました。

日光には何度か写生旅行で訪れており、若き小杉放菴と
出会ったのは、吉田が渡米する少し前のことでした。

吉田に対抗し、カンバスと絵具箱をもって大谷川を
上るなど、吉田から強い刺激を受けた小杉放菴は、
同じ画塾で洋画を学ぶことを決意します。

不同舎への入門に際しては、吉田風の絵画作品
「中禅寺の紅葉の図」を持参していったといいます。

本作は、吉田がこの時期に描いたと思われる、
日光の杉並木を扱った水彩画で、遠方の空気へ
消えゆく杉の連なりによって遠近感が強調されています。

不同舎が得意としたこの手法は、当時「道路山水」と称され、
「道」にポイントを置き、特別な名所ではない、ありふれた
風景を絵画化していくことで、それまでの日本にはない、
新しい風景画の視点を切り開いていきました。

参考:
『風景画の巨匠 吉田博展』(福岡市美術館、1996年)
『福岡市美術館叢書4 吉田博資料集』(福岡市文化芸術振興財団、2007年)

2010/01/01

謹賀新年

20100101

今年もよろしく
お願い申しあげます。

立面図